2017-05-11 23:06共に生きる
◆共に生きる -②自己発揮と他者理解-
5月に入り気持ちの良い気候の中、子どもたちは春を満喫して幼稚園生活を過ごしています。年中組に続き、先日には年少組の親子遠足が行われ、ゆたかな出会いや交流の時を持つことができました。ご参加いただいた皆さんには、随所でご協力いただきありがとうございました。年長組はもう少し季節が進んだ6月末に親子遠足を予定していますので、ぜひお楽しみにしていて下さい。
さて、今月のテーマは「自己発揮と他者理解」です。このテーマは、幼稚園における集団生活の大きな目標でもあります。自己発揮とは、集団の中で自分の内側に持っている欲求や感情などを言葉や態度、行動などで表す(発揮する)ことであり、他者理解とは、お友達の意見や個性を尊重し、受け容れることです。発揮することと受容すること、この二つのセンスは一見対極的にあるように思えますが、どちらも子どもの成長にとって欠かせない重要な要素であり、この両面を伸ばしていくことが大切であると思います。
子どもにとって人前で自分を表すことはとても勇気のいることです。特に緊張や不安が高いと自分を出すことはできませんし、「したい遊びがある」等、主体的でないとなかなか自己発揮にはつながっていきません。一方、他者を理解するというセンスは直接的、かつ深い関わりの中でしか身につけられません。いろいろな個性と触れ合い、過ごすからこそ、「自分とは違う考えや気持ち」を少しずつ受け容れ、理解できるようになっていくのだと思います。これらの経験は「教え事」ではなく、「自らが積み上げていく」ものであると思います。幼稚園で友達と一緒に過ごし、遊びこむ毎日は、言い換えればこの二つのセンスを同時に養い育てていく毎日でもあり、子どもの成長にとって非常に価値のある経験であると思います。
「All for one, one for all(みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために)」よくラグビーのチームプレー精神に用いられる言葉ですが、幼稚園で毎日積み上げられる友だちとの関係もこの感覚と近いような感じがします。年少組では先生を主導として十分に集団の場に慣れて安心して過ごし、自分の好きなあそびを見つけたり、気持ちを言葉に表したりできるように、年中組では友だちあそびを中心として友達と遊びこみ、ゆたかな相互作用の中で、「自分の気持ちを伝えること、友だちの気持ちに気づくこと」を体験的に学べるように、そして年長組ではクラスの一員としての自覚を持ち、「クラスに貢献できる自分」として個々の力を大いに発揮していけることを大きな願いの一つにして毎日の生活を積み重ねていきます。子ども同士が平和で対等な関係であるようによく見守りながら、友達とのあそびや関わりを十分に経験させてあげ、子どもたちが自分の器を広げていけるよう心から応援したいと思います。
どうぞご家庭においても、お子さんのこうした幼稚園生活に目を留めて、小さな一つひとつの勇気と挑戦を認め、祝福していただきたいと思います。時にはドキドキしたり、お友達とうまくいかなかったりする日もあるかと思いますが、そんな時にはどうぞたくさん勇気づけて明日への活力を取り戻せるように応援してあげてください。友だちの中で「自己発揮と他者理解」を十分にさせてあげられる幼稚園時代としてまいりましょう。
◆今月の聖句 「主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない」 (詩編23:1)
羊の群れを率いて養っていく人を羊飼いと呼びます。羊飼いは何百、何千というたくさんの羊を青草に連れて行き、水のほとりに導き、羊を襲うオオカミや盗人から羊を守ります。
私たちは羊のような存在で、神さまは私たちの羊飼いです。神さまは私たちを養い、危ないものから守ってくださいます。また神さまは私たち一人ひとりを愛してくださり、一人ひとりに目を留めて、私たちの心の祈りに耳を傾けてくださいます。ですから私たちも神さまに守られて安心して過ごせるのです。
羊が羊飼いを信頼して従っていくように、私たちも神さまに心を開き、信頼して、いつも「ありがとうございます」の心を忘れずにすごしていきましょう。そして、神様に喜んでいただけるような子どもになっていきましょう。(子どもの礼拝要旨)
園長 石川 勇