2025-05-01 09:00愛の中で育つ
◆愛の中で育つ -バングラデシュと共に-
5月を迎え、春から夏へ向かって自然の息吹も力強さをましている中、幼稚園でも日々の生活を通して子ども達の輝きがさらに増してまいりました。子どもたちは出会いの一学期を豊かに過ごしています。
さて、今月は「バングラデシュ」についてお伝えしたいと思います。バングラデシュはかつて「世界最貧国」と呼ばれていましたが、近年は経済成長により最貧国を脱しています。しかし、依然として貧困層が多く、アジア最貧国のひとつに位置づけられており、特に農村部の貧困率は非常に高いとされています。
貧困は、「貧困である →子どもを学校に通わすだけの余裕がない →教育が受けられない(=読み書き、計算ができない)→成人してからもろくな仕事に就けない →貧困から脱却できない」というように、負の連鎖を生み出してしまいます。私たちがパートナーシップを持っている現地NGOのBDP(Basic Development Partners)は30年余に亘ってACEF(アジアキリスト教教育基金)の支援の下に「教育こそがバングラデシュの発展に不可欠である」と、学校に通えない子ども達のために無償で学校を開き、教育の機会を与えています。現在ではBDPの学校(30校)に通う子どもは3,155人を数え、大きな教育の運動に発展しています。当園のエイセフボランティア会も、BDPのこの運動を支援するためのお母様方によるお働きであります。
私も以前訪バし、BDPの学校に見学に行く機会がありましたが、どの子どもも学校に行ける喜びでいっぱいに目を輝かせながら勉強している姿に感心させられたのを覚えています。「僕は将来お医者さんになりたいんだ」とか、「私は学校の先生になりたいの」など、とびきりの笑顔で夢を語る子どもたちの姿に「本当にそうなれたらいいね」と心から応援したい気持ちになりました。しかし学校に通えても、卒業まで通学できる子どもはほんの一握り程度です。それは、家庭の経済状態のために子どもも働かなければならないからです。学習を積み上げる重要性、それによって広がる将来の可能性などを親が知らない(親自身が教育を受けたことがない)ため、あるいは日々の暮らしがそれ以上にひっ迫しているため、子どもを学校に通わせきれないというのが実情なのです。
私たちは日本という恵まれた国で生活し、子どもが教育を受けることは今や当たり前となっていますが、そうではない現実を知ることで、「自分たちがどれだけ恵まれた環境を与えられているか」ということに気づくことができます。教育を受けることは「人生を選択するチャンスを広げる」ことです。そのチャンスが与えられている私たちの子どもには、ぜひ大きな夢や志を持って「期待に満ちた人生」を歩んでいってもらいたいと心から願います。そして、そのチャンスが与えられていない子ども達がいることも忘れずに、またそのチャンスが少しでも広がるように願い、これからもできる範囲で応援していきたいと思います。
◆今月の聖句 「あなたがたは神さまに愛されている子どもです」(エフェソ5:1)
みなさんはお家ではお父さんやお母さん、家族から愛され、幼稚園では先生やお友だちから愛されて毎日を過ごしています。愛するとは「大切にする」ことです。みなさんは周りの人たちから大切にされています。大切にされると嬉しいし、安心しますね。
神さまは私たちみんなのお父さまです。目には見えないけれど、いつも私たちを愛し、守って下さるお方です。皆さんの歌う賛美歌や、お祈りを聞いて下さいますし、一人ひとりの心に寄りそって下さいます。神さまは私たちを大切にして下さいます。そして、神さまはこの世のすべてのものをお創りになられた方です。
動物や虫たち、草花や木々などにも神さまが与えて下さった「いのち」が宿っていて、私たちと同じように大切にされています。
神さまに愛されていることを知って、私たちも安心して毎日を過ごしましょう。そして愛して下さり、守って下さる神さまにありがとうの気持ちを忘れずにいましょう。さらに、神さまが与えて下さった自然を大切にして、いのちを大切にして、お友達同士大切にしあって大きくなってまいりましょう。(子どもの礼拝要旨)
園長 石川 勇