2016-09-30 02:15よりよい幼児期を目指して
◆よりよい幼児期を目指して -⑥雪だるまと玉ねぎ-
「活動の2学期」が始まり一ヶ月が経ち、いよいよプレーデーも近づいてまいりました。子どもたちのがんばる姿や、友達と心を合わせて楽しむ姿をどうぞお楽しみください。ご一緒に心より応援し、励まし、また参加して楽しいプレーデーを作り上げましょう。
さて、今月は「雪だるまと玉ねぎ」という題名をつけました。これは以前にある人からうかがった「スポーツ選手の育成方法」についての話にでてきた考え方ですが、興味深い話だったので少しご紹介します。雪だるま式の育成方法とは、雪だるまを大きくしていくように、いいところを見出し伸ばして育成していく考え方、たまねぎ式の育成方法とは、玉ねぎの皮をむいていくように欠点や課題を矯正し磨いていくという考え方です。対照的な手法ですが、どちらが正しいかというよりも、その選手の段階に合わせて「どちらの手法を使うか」を見極め、判断することが重要であり、良い指導者はその判断が的確であるのだということです。
スポーツ界において、子どもの取り扱いについては世界で違いがあり、ジュニア選手をどのように育成していくかの考え方も国によって大きく変わるそうです。多くの競技で日本のジュニアは世界トップレベルだそうですが、シニアになると形勢逆転、いわゆる「世界レベル」の選手がメキメキ頭角を現してくるのだそうです。これらの国では子どもの身体についての研究が徹底的に行われ、選手のピークを成人の時期に設定して育成企画がなされているため、ジュニアの時代は結果を出すことよりも「将来的な可能性を蓄える」時期としてとらえられ、技術(テクニック)よりも技能(バランスや身体能力)を伸ばすことに力が注がれます。そしてやがてバランスのとれた強いからだと技能を十分に蓄えた(潜在能力十分の)選手がテクニックを学ぶことで「うまくて強い」選手が育ち、良い結果につながっていくのだそうです。まさにジュニアの時代は「雪だるま式」に能力を育て、時を見極めて「玉ねぎ式」にシェーブアップし、世界に通用する選手を育てているのだというお話でした。
これはスポーツに限らず、子どもの育ちを考えるうえでとても重要なヒントであると思います。人生においても、子どもの時代は結果を出す時期ではなく、「将来的な可能性を蓄える」時期です。その中で一番大切にしていきたいものは「主体性」だと思います。主体性こそが生きる意欲や楽しさにつながるからです。幼稚園でもたくさんの経験をし、友達からも様々な刺激を受けて子どもは世界を広げていきますが、その中で一人ひとりの主体性が育っていってもらいたいと心より願っています。
主体性は外から与えられるものではなく、内から湧き出てくるものです。それは、もし雪だるまに命があったとしたら、「自ら転がり大きくなろうとする力」となるでしょう。どうぞお子さんから湧き出てくる小さな意欲や興味を大切にしてあげてください。そしてお子さんがなるべく依存的にならないような親の関わりを考え、工夫してまいりましょう。
◆今月の聖句 「いつも喜んでいなさい 絶えず祈りなさい どんなことにも感謝しなさい」(テサロニケⅠ5:16)
今日も元気に幼稚園に来ることができました。こうして元気に幼稚園に来ることができたこと、みんなと会えたこと、これは当たり前のことではありません。先生は前にある人のお見舞いに病院に行きました。そこにはたくさんの子どもたちが入院し、治療を受けていました。まだ小さいのにお家から離れて、大好きな幼稚園に行くことができず可哀そうだな…と先生は思いました。でも皆さんはこうして元気でいられる、これは本当にうれしいことです。バングラデシュに行った時には「おなかをすかせている」子どもたちに大勢会いました。おなかいっぱい食べられることも当たり前ではないことを知らされました。でもみんなは毎日ちゃんとご飯が食べられます。これも本当に幸せでうれしいことですね。
私たちは神さまから与えられているこれらの恵みを忘れて、ついつい当たり前だと思ってしまいます。でも、そうではない人を知ることで、当たり前ではなく感謝なことなんだということに気づくことができるのです。また、こうして幼稚園に来られるのはお父さんやお母さんがお仕事やお世話をしてくれているからです。そのことにも気づいて感謝したいと思います。
それと、今苦しんでいる人たちや困っている人たちが、私たちと同じように元気になり、おなか一杯にご飯が食べられるようにみんなで心を合わせてお祈りすることも大切なことですね。これからも喜びいっぱいに過ごし、ありがとうの言える、またいつも神さまにお祈りできる一人ひとりでいましょう。(礼拝お話要旨)
園長 石川 勇