園長のつぶやき
毎月の父母会で配布している園長のメッセージです

2024年5月 好きなものを見つける

2024-05-01 13:00よりよい幼児期を目指して

◆よりよい幼児期を目指して -好きなものを見つける-

今年度の保育が始まって一ヶ月が過ぎました。クラスや先生、友達、生活リズム・・・。こどもたちは、戸惑いながらも新しい環境に順応すべく、毎日はりきって過ごしています。一日の頑張りは、疲労になって残ります。体調を崩さないように十分に休養をとるよう心がけましょう。

さて、4月には安心できる環境作りというテーマで、「園と家庭の連携」や「フォローアップ」ということを主に考えましたが、今月はもう一歩階踏み込んで、「好きなものを見つける」というテーマで充実した幼児期を考えてみたいと思います。

「生き物好きが高じて獣医さんになった」というようなエピソードを耳にすることがあります。まさに「好きこそ物の上手なれ」の極みだとうらやましく思ったりもしますが、そこまでではないにしろ、好きなことに夢中で取り組むことは年齢を問わず、知識や能力の幅を広げ、意欲や好奇心を高めさせ、生活を充実させます。子ども達には好きなものを見つけ、とことん遊んでほしいと心から願います。

ところで、同じ環境で過ごしていても子どもによって好きなもの(興味を示すもの)は違います。嗜好は人それぞれなので当然ではあるのですが、このことを理解していない大人(親)も案外少なくないような気がします。つまり、子ども同士で興味が違うように、「親と子ども」においても興味の対象が違って当然だということです。こどもは時に親にとってあまり歓迎したくないようなものに興味を持ったり、こんなものを好きになってほしいと思うものにはまったく興味を示さなかったりする事があります。そのような場合に「~はお母さん嫌いだからやめてちょうだい」、「お父さんが小さい時にはなぁ~」とついつい批評し、興味を転換させ、親自身の興味のあるものを好きにさせようとしてしまいがちです。もちろん子どもにとって明らかに良くないものは別として、このような時にこそ「違って当然」という気持ちを持つことが重要だと思います。「へぇ~そんなものが好きになったんだ~!お父さん(お母さん)にも教えてよ」と一緒に興味を示したり、称賛したりすることができれば子どもの意欲はますます高まるでしょう。

例えば「絵」も、初めはただの線やなぐり書きのように見えるものから始まります。しかし、絵には必ず子どものテーマ(メッセージ)があるのです。その絵を以って批評するのではなく、何を描こうとしたのかを理解してたくさん褒めてあげることが子どもの意欲を高め、「また次に描いてみよう」という気持ちをつくります。絵は自分の気持ちを表現する一つの手段ですから、「正確に描く」ことよりも「何を描いたか(描きたいか)」が重要です。色使いや描く絵の大きさ、力強さに子どもの心を見ることができます。パパやママを描くのは「大好きな気持ち」の表現であり、その絵をパパやママにほめてもらうことで「自分が愛されていること」を実感できるのです。そして「次はどんなものを描こうかな?(何で喜ばせようかな?)」と想像を巡らせながら繰り返し描いているうちに、だんだんとイメージの世界が広がり、上手に描けるようになっていきます。

子どもが抱いた興味が入り口となってどの方向へ伸びていくだろうかと想像すること(ただし押しつけにならないように気をつけること)は大変結構なことだと思います。例えば、最近「虫」に興味が出てきたことが分かったならば小さな図鑑を一冊用意してやり、お休みの日にでも一緒に虫を探しに出かけてみる。捕まえた虫を飼うために一緒にその虫について調べてみる(どんなものを食べるのか、どんな環境で暮らしているのか、どんな特徴があるかなど)。このように、子どもと一緒に親も興味を持ってみると「子どもと一緒に」楽しむことができますし、昆虫の世界から動物の世界へ、そして自然へと興味の幅が広がる可能性も十分にあるのです。電車を入り口に車種やその働きを知り、お休みの日などに実際に乗りに行く経験を通して乗り継ぎや、駅(地名)の知識、やがては旅の計画、地図などへ興味が広がっていくことも考えられるでしょう。

好きなものに夢中になることで生活が充実し、そのきっかけに大人(親、教師)の共感や称賛が大きく影響すること、そして繰り返しながら遊ぶことによって上手になったり、興味の幅が広がったりしていくことを考えてまいりました。子どもと同じ土俵に立つと、その柔軟さや発想の豊かさなどに驚かされます。お子さんが見つけてくる様々な興味にできるだけ目を留めて、その楽しさを一緒に味わえていけたら素晴らしいですね。


◆今月の聖句 「主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない」 (詩編23:1)

羊の群れを率いて養っていく人を羊飼いと呼びます。羊飼いは何百、何千というたくさんの羊を青草に連れて行き、水のほとりに導き、羊を襲うオオカミや盗人から羊を守ります。

私たちは羊のような存在で、神さまは私たちの羊飼いです。神さまは私たちを養い、危ないものから守ってくださいます。また神さまは私たち一人ひとりを愛してくださり、一人ひとりに目を留めて、私たちの心の祈りに耳を傾けてくださいます。ですから私たちも神さまに守られて安心して過ごせるのです。

羊が羊飼いを信頼して従っていくように、私たちも神さまに心を開き、信頼して、いつも「ありがとうございます」の心を忘れずにすごしていきましょう。そして、神様に喜んでいただけるような子どもになっていきましょう。(子どもの礼拝要旨)


園長 石川 勇