2016-06-02 23:00よりよい幼児期を目指して
◆よりよい幼児期を目指して -③あそびの中の動と静-
6月に入りました。幼稚園では家庭訪問や保育参観などの機会を通して、ご家庭と幼稚園がより相互の理解を深められるように努めています。どうぞ担任の先生を中心として豊かに交わり、お子さんの成長をご一緒に考え、応援してまいりましょう。またお気づきの点などがありましたら、どんなことでもご相談ください。
今月はあそびの中の「動と静」についてご一緒に考えましょう。活発に身体を使って遊んだり、ゆったりと落ち着いて遊んだり、「あそび」にはいろいろな種類があります。活発に遊ぶ方を動的なあそび、落ちついて遊ぶ方を静的なあそびとして考えた時に、どちらの傾向を好み遊ぶかは、子どもの性格や年齢などによっても違いがあるでしょう。幼稚園でも自由時間のあそびなどを観察していると、一目散に走り出し、友だちと追いかけっこや戦いごっこを始める子ども、砂場で黙々と造形や見立てあそびをする子ども、遊具や鉄棒などのチャレンジをする子ども、虫探しや泥団子づくりに没頭する子どもなど、同じ園庭内の同じ時間であっても子どもによって遊び方はそれぞれです。
「動と静」のあそびにはそれぞれに楽しさがあり一概には言えませんが、動的なあそびには主に冒険心(挑戦や競争など)をかきたてるような魅力が、静的なあそびにはイメージを膨らませ、また集中して「自分の世界を開拓していく」ような魅力があるように思います。大好きなあそびに出会い遊び込んでいくことは、これらの魅力に触れ、その世界に深くのめり込んでいくことであり、子どもたちはそこから成長に必要なたくさんのことを学んでいきます。ですから動的なあそびであれ、静的なあそびであれ、「夢中になって遊ぶことのできるあそび」に出会うこと自体が幼児期における大変重要な目標となります。
あそびの価値を知らない大人は、子どものあそびを単なる時間つぶしや暇つぶしとしてしか捉えられません。ぜひお子さんのあそびに目を向けて、そのあそびの面白味はどこにあるのか、何に対して夢中になっているのかなどに着目して観察し想像してみると、きっとお子さんの理解や成長につながる発見がたくさんできるのではないかと思います。どうぞお子さんが見つけたあそびを大切にしていってあげてください。
◆今月の聖句 「種は良い土地に落ち、実を結んで百倍、六十倍、三十倍にもなった」(マタイ13:8)
今月の聖句は、「種を蒔く人」のたとえという、イエスさまの語られた大変有名なお話です。
「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。ほかの種は石だらけで土の少ないところに落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。ところが、ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。耳のある者は聞きなさい」(マタイ13:1-9)
しっかりとお話を聞くことのできる子どもは、良い土地に落ちた種のように「心の大事な場所」にそのお話を落として、いつまでも忘れることなく、また百倍にも六十倍にも実を結ぶことができます。同じお話であっても、どのような心で聞くかによって伝わり方が違ってきます。大切なお話がしっかりと心に入るように、心を整え、また耕していくことが大切であることを子どもたちは学んでいます。
普段の生活の中でも、日々の糧が与えられていることや、平和に過ごせること、家族が健康でいることを当たり前としないで「感謝」する心を大切にいたしましょう。与えられている恵みに気づいて、家族の間でもありがとうを交し合えるご家庭であっていただきたいと思います。良い家庭を作って、神さまから与えられている恵みがよい土地に落ち、何倍にも実を結ぶことができるようお祈りしています。
園長 石川 勇