2024-04-08 09:00よりよい幼児期を目指して
◆より良い幼児期を目指して -安心できる環境作り-
いよいよ2024年度の保育がスタートしました。ご入園、ご進級を心よりお慶び申し上げます。今年度もこども一人ひとりにしっかりと目と心を向けて保育にあたってまいりたいと教職員一同思いを新たにしているところでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今月は「安心できる環境作り」という視点でご一緒に考えてみたいと思います。春は環境の変化が大きい季節です。新しく幼稚園に入園する、進級児であってもクラスや先生が替わる、新しい友達と出会うなど、お子さんにとってこの環境の変化は大人が想像するよりもはるかに大きいかもしれません。この時期、こどもたちは期待を持ちつつも、同時に不安や戸惑いも抱いているということを周りの大人がしっかり理解しておくことが大切です。新しい環境に慣れるということは、言い換えれば、新しい環境においても「安心」してすごせるようになるということであり、幼稚園はもとよりご家庭においても、新しい環境の中でお子さんが不安や戸惑いを乗り越えて「安心」していけるように環境や関わりを工夫してまいりましょう。
“お子さんが安心して幼稚園生活をすごす”上で大切なのは、「園と家庭の連携」と「フォローアップ」であると思います。お子さんが新しい環境(場所、人、生活スタイルなど)に順応していくには一定の時間が必要であり、幼稚園では担任の先生がその一つひとつに丁寧に関わり、楽しさはもちろん、戸惑いや不安もこどもたちと一緒に乗り越えていきます。何せ初めての集団生活なのですから、幼稚園で出会うもののほとんどが初めての経験であり、困ったり、つまずいたりすることもしばしばです。しかし、先生の見守りや援助の中、何度も繰り返し経験することでそれらを乗り越え、やがては幼稚園を自分の場所としていきます。ですから、こどもたちにとって担任の先生は“幼稚園でのお母さん”と言ってもいいくらい「頼りになる」、「全信頼を寄せられる」存在であると言えるでしょう。園と家庭の連携とは、特に担任の先生とお母さん(お父さん)との連携であり、お子さんを中心において両者が手を取り合うことです。そのためにまずは担任の先生との間に良好な関係を築き、なんでも相談できる間柄にしておくことが大切です。「何かしっかりしたことを言わなくては」と構える必要はありません。はじめは「先生と知り合おう」程度からどうぞお気軽にお話しください。お子さんもお母さんが楽しそうにお話している先生ならばより一層興味も持ち、好きになっていくものです。また、ご家庭の中でも折に触れて先生達の話題を出して、お子さんがより幼稚園に対して親近感を持てるようにしていくのも良いフォローだと思います。お子さんが困った様子を見せているようなときには、「何で?どうして?」と質問攻めにしたり、「~だからよ、もっとこうしなさい」的な指示的な声かけをしたりするよりも、「そうなの。それは困ったわね。明日一緒に先生に相談してみようね!」と言ってあげたほうがお子さんもずっと肯定的に受け止められるはずです。
最後になりますが、新しい環境の中でさまざまなチャレンジをしてくるこども達の疲労も忘れてはいけません。ハイテンションになる、機嫌が悪くなる、わがままになる・・・。これらは代表的な疲労の現われですから、叱ったりせずにゆったりと構えて、静かに遊べるものを用意するなど、十分に休息がとれるようにしてあげましょう。そして、お子さんが話したいようなら十分に時間をかけて聞いてあげましょう。逆にあまり話したくないようなら、そっとしておいてあげましょう。一日幼稚園ですごしてきた情報量とは相当なものです。それを言葉にして、さらに感想も加えながら話すという作業は大人でも難しいですね。こどもの話というものは断片的で、突然で、そこから全体像を想像することはなかなか難しいものです。しかし、自分の発見したもの、うれしかったことなどを一生懸命にお話ししようとしているのですから、そのことに共感して、「お話ししてくれてありがとう。ママ(パパ)嬉しかったよ」とひと言伝えてあげれば「ぼく(わたし)の嬉しいことはママ(パパ)も嬉しいんだ」、「今度もまたお話ししたいな」という気持ちになります。お子さんの話したい気持ちを育んであげるにはよく話を聞いてやること、その話に共感してやることです。
皆さんが選ばれた昭島幼稚園です。これから始まる生活をお子さんと共により主体的に、そしてエンジョイしながら、先生達やお友達、父母の皆さんと良い出会いをしていただきたいと心より願い、また応援をしております。幼稚園はお母さん(お父さん)も安心してすごせる場所なのですから。
園長 石川 勇