園長のつぶやき
毎月の父母会で配布している園長のメッセージです

2011年度3月 ⑪幸福感

2012-03-09 09:55楽しい子育てに向けて

◆楽しい子育てに向けて -⑪幸福感-

今年度の保育も残すところあと一週間となりました。今年度もここまで神さまに守られ、父母の皆様と心を合わせて歩んでこられましたことに深心よりの感謝を申し上げます。

毎日の保育を通して、子どもたちは一回りも二回りも大きく成長いたしました。仲間との生活は一人ひとりを勇気づけ、励まし、時にはケンカもありましたが、互いに許しあうことを教えてくれる機会でもありました。困っていたり、泣いていたりした時、差し伸べられたお友達の手に、何人の子どもが勇気をもらい、その優しさに支えられて涙をぬぐえたことでしょう。子どもたちにとって幼稚園の毎日は、まことに「かけがえのない」日々でした。卒業を迎える年長組の子どもたち、お引越しで転園する子どもたちには、この場所で得たたくさんの自信や優しさを胸に、新しい場所でも一人ひとりらしく輝き歩んでいけるように、また進級を迎える子どもたちには、新しい年度も幼稚園で「かけがえのない毎日」を友達と一緒に過ごしながら、さらに大きく成長していけるように心から祈り、また応援しています。

お別れを前にすると、一層「一人ひとりの人生が幸せであってほしい」との願いが強くなります。幸福感は人によって違うのかもしれませんが、与えられた人生を「いきいきと生きること」も人間にとって幸せのひとつと言えるのではないでしょうか。マザーテレサの言葉に「人間にとって一番ひどい病気は、誰からも必要とされていないと感じることです。」というものがありますが、年間3万人もの人達が自ら命を絶つ日本、ユニセフの調査によると、なんと日本の子どもの3人に1人は「孤独」を感じているそうです。大人であっても孤独感に包まれながらいきいきと生きられる人などいません。ましてや子どもであればなおさらです。これは本当に深刻な問題であると思います。「誰かに必要とされている」と感じることで、はじめて人は自らを生かし、そしてまた幸せを感じるようにもなることができるのではないでしょうか。

この「園長のつぶやき」も今年度最後の月を迎えました。稚拙でまとまりにも欠ける文章に一年間お付き合いいただきありがとうございました。今年度は「楽しい子育てに向けて」というテーマで書いてみましたが、内容はともかく、なんとか毎月お休みをしないで書ききることができました。来年度以降もなるべくいろんなテーマで(息長く?)書き続けていけたらと思いますので、お付き合いいただけますようお願いいたします。

最後に、星野 富弘さんの詩に「幸せという花があるとすれば、その花の蕾のようなものだろうか… 辛いという字がある。もう少しで幸せになれそうな字である」というものがあります。「幸せ」と「辛さ」、一見対極にあるような言葉ですが、決して反対にあるわけではなさそうです。人を育てる業は簡単なものではありません。時には辛いと感じることもあるでしょう。しかし、その辛さと向き合い、ひとつずつ乗り越え、解決していこうとする歩みの先に、「幸せ」は待っているということでしょう。この先まだまだ続く長い子育ての道のりですが、その時々に「心をこめて」、幸せいっぱいの「楽しい子育て」をしてまいりましょう!


◆今月の聖句 「隣人を自分のように愛しなさい」(マタイ22:39)


 今月の聖句は、律法の専門家がイエスさまを試そうとして「先生、律法の中でどの掟が最も重要でしょうか。」と尋ねた時に、イエスさまが答えられた言葉です。37節~「心を尽くし、誠心を尽くし、思いを尽くして、あなたの主である神を愛しなさい。」これが最も重要である第一の掟である。第二もこれと同じように重要である。「隣人を自分のように愛しなさい。」
 イエスさまはその生き方や言葉を通して、今もなお私たちに「愛」を教えてくださいます。その愛は平和につながる愛であり、人生の幸せにつながる愛であります。幼稚園のモットーに「自分には強い心、人にはやさしい心、神さまには素直な心」という三つの大切な心がありますが、その心とはイエスさまのおっしゃったこの最も重要な掟に基づいた心なのです。
さて、他者を愛するためにはまず自分を愛せなくはなりません。しかし、自分を愛するためには他者から愛される経験が不可欠です。人は愛の中でしか愛を知ることができないからです。「隣人を自分のように愛しなさい」といわれても、自分を愛せない人がどうして他者を愛せるでしょう。イエスさまは、「創造主である神さまが私たちをどれだけ愛してくださっているか」を聖書の中で繰り返し語りかけてくださっています。私たちも心を開いてその声を聴き、本当の愛を知って自分自身を愛せる人になりたいですね。
そういう意味からも幼い時に神さまの愛を知り、家族や仲間から愛される経験は一生の中でも大事な経験です。「一人はみんなのために、そしてみんなは一人のために」いつもつながりながら、互いを大切にしあって過ごす日々に、人として生きていくうえで重要なこれらのメッセージを受け取ることができるのです。


園長 石川 勇