2011-06-10 09:46楽しい子育てに向けて
◆楽しい子育てに向けて -③家庭の関わり-
6月に入り、梅雨の季節を迎えました。大地に潤いを与え、木々や草花、作物を大きく育てる恵みの雨です。雨の大切さを感じ、楽しみながらこの時期を過ごしてまいりましょう。
幼稚園では1学期の保育も徐々に高まりをみせてまいりました。子ども達はたくさんの刺激の中で、それぞれなりに毎日の生活に精一杯参加し、頑張っています。保育参観などの機会もありますが、お友達と比べたり、課題ばかりに目をやるのではなく、お子さんが幼稚園で何を頑張っているのか、幼稚園のどんなところを好きになったのか、どんなお友だちができたのかといった「良い点」に目を向けてみましょう。きっとお子さんの新しい一面が見つかると思います。
さて、今月は「家庭の関わり」というテーマで楽しい子育てを考えます。高い社会性を持つ動物といわれている「ゾウ」は、その生涯を自分の所属する群れで過ごします。群れには年長者(70歳くらい)から生まれたてのあかちゃんまでおり、その群れは20頭近い規模になります。子ゾウは群れ全体で育て、生きていく知恵やルールなどが時間をかけて教え伝えられていくのだそうです。しかし、アフリカでは近年ゾウが人間を襲ったり、農作物を荒らしたりする事件が頻発しており、深刻な社会問題になっているそうです。元来人間とうまく共生していたゾウが、なぜそのような行動をとる様になったのか?観察や研究が進み、ひとつの事実が分かりました。それは、象牙捕獲のために密猟者によって「特に象牙の大きい年長者から」殺されてしまう、このことは、ゾウの群れにとっては「生きる知恵やルール」を伝えていくべき存在が突然いなくなるということで、その年長者を欠いた群れで育った(教育を受けていない)ゾウが被害をもたらすような行動をしてしまうのだそうです。長い歴史をかけて人間との間に築かれてきた暗黙のルールが今まさに壊れようとしている・・・。人類の歴史にとっても本当に大きな損失であると思うのと同時に、この日本で生きる「私達の生き方」にも共通するメッセージであるように感じます。
「社会の最小単位は家庭である」といわれます。子どもは家庭で学んだ知恵を生かしてやがては大きな社会で生きていくのですから、家庭教育が子どもにとっていかに重要かが分かります。しかし、家庭崩壊や、それに限らず家庭はあっても「家庭教育」が十分になされないまま子どもが育ち、様々な問題を引き起こすケースが年々増加の一途をたどっているそうです。今、家庭教育を真剣に考える時が来ているのではないでしょうか。
家庭教育とは親としての「関わり」そのものであり、社会を生きていく術を「人任せ」にせず、わが子に継承していこうとする親の覚悟と行動です。暴れゾウのような人間にならないためにどのように育てますか?あるいは、社会を上手に生きていくコツとはなんでしょうか?幸せに生きるとは一体どんなことですか?…目先のことだけではなく、少し長いスパンで、親(年長者)として伝えるべきことをご夫婦でよく話し合い、互いに協力し合ってそのような生活を実践していくことこそが家庭教育なのだと思います。子は親の背中を見て育つといいます。言葉だけでなく、どうぞ率先して手本となるような行動で「背中を見せ」、この楽しい子育ての時をお過ごしください。
◆今月の聖句 「神は、その独り子をお与えになったほどに世を愛された」(ヨハネ3章16節)
神様がどれほどわたし達を愛してくださっているかを知ることのできる聖句です。かけがえのないわが子をどこかに送るなどわたし達には想像もつきません。しかし、神様はその独り子であるイエス・キリストをわたし達のもとにお遣わしになりました。そして今もなお、神様の栄光をイエス・キリストを通してわたし達にお示しになられているのです。神様は、これ以上ない大きな、そして深い愛でわたし達を包んでくださっています。
さて、イエス様は、その生涯を通してわたし達に「愛」を教えてくださった方です。今月から子ども達の礼拝でも「イエス様」のお話しが始まりました。幼稚園での様々な出会いの中で、最も大きな出会いはイエス様との出会いです。聖書の中でイエス様が語られる言葉や教えは子ども達の心に深く染みとおります。その言葉は、毎日の生活の中で、あるいはこれからの人生の上でも、どんな時にも「いかに生きるか」をわたし達に示してくださるのです。
大人になってからイエス様と出会い、生き方が変わった人も大勢います。しかし、幼いうちにイエス様に出会い、その生涯や言葉に触れることができることはたいへん恵まれていると思います。子ども達には幼稚園で出会ったイエス様のことをずっと心の中に大切にしていってもらいたいと願っています。
ご家庭でもお子さんが幼稚園で覚えた賛美歌を歌ったり、お祈りをしたりすることがあるかもしれませんが、どうぞ大切な時として心を合わせて下さいますようにお願いします。そして、ご家族でもぜひ一度教会へお出かけください。
園長 石川 勇